とりい動物クリニック 静岡県富士市の動物病院

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最近のノミ、マダニの駆除と予防方法

はじめに

最近暑くなってきましたね。梅雨明け宣言ももう間近ではないでしょうか?最近の診療で皮膚疾患が大変増えてきております。季節的に、寄生虫の影響等(ノミ、マダニ)による皮膚疾患が多いと思います。
今回は、お家の動物達に高率に寄生する恐れのあるノミ、マダニの駆除/予防方法を紹介しますね。

予防方法

ノミ、マダニの駆除/予防は従来よりいろんな方法により行なわれてきました。それら方法の紹介と利点欠点を2点ずつ挙げてみます。

  1. 首輪:いわゆるノミ取り首輪です。ノミ、マダニを駆除する成分がしみ込んだ首輪を動物の首に巻くことにより、効果を発現します。
    • 利点:比較的長期間効く。安価。
    • 欠点:紛失の恐れ有り。きちんと装着しないと効き目が悪い。
  2. シャンプー:ノミ取りシャンプーです。ノミ、マダニを駆除する成分がしみ込んだシャンプーにより定期的にシャンプーで駆除します。
    • 利点:駆除と洗浄の効果。安価。
    • 欠点:効果発現の期間が短い。洗うのに手間がかかる。
  3. 内服薬:飲み薬で駆除するタイプです。ノミの成長を阻害するお薬が入っています。
    • 利点:ノミの成長を阻害するので、子孫を残さない。
    • 欠点:速効性に欠ける。室外飼育には不向きかも?(新しいノミをつけてきてしまうので。)
  4. スポットオン式:ここ数年はノミ、マダニのお薬の主流になります。皮膚に少しだけ滴下(たらす)して使用します。
    • 利点:簡単に処置出来る。高い駆除効果。
    • 欠点:欠点がないのが欠点。(笑)しいて挙げれば古来よりある予防に比較してコスト高。

当院では、最近の飲み予防はほとんどがスポットオン式となりました。やはり市販されているお薬に比較して、動物用医薬品としての高い安全性と、高い駆除効果を十分に評価しているからです。

スポットオン式薬剤

ここで4番のスポットオン式の紹介をしたいと思います。

フロントラインプラス

製造販売業者:メリアルジャパン
販売元:日本全薬工業株式会社

このお薬は、犬と猫のノミとマダニを駆除します。犬にも猫にも使用できノミにもマダニにも高い駆除効果を持つお薬です。またシラミ、ハジラミにも効果を持ちます。お薬はフィプロニルが駆除成分で/(S)-メトプレンが成長阻害薬です。
犬:ノミ(1〜3ヵ月間)マダニ(約1ヵ月間)
猫:ノミ(1〜1.5ヵ月間)マダニ(約3週間)

加えてこのメーカーはスプレー式の薬剤も販売しています。
スプレー式はスポットオン式の使用出来ない若齢時や多頭飼育の猫ちゃん等には使用コストも抑えられお勧めです。

詳しくはメーカーHPまで: http://www.frontlineplus.jp/

アドバンテージプラス

製造販売業者:バイエル メディカル株式会社

このお薬は、犬と猫のノミを駆除します。マダニには効果が有りません。犬にも猫にも使用できノミに高い駆除効果を持つお薬です。成分はイミダクロプリドが駆除成分でピリプロキシフェンが成長阻害薬です。
犬:ノミ(1ヶ月間)
猫:ノミ(1ヵ月間)

詳しくはメーカーHPまで: http://www.bayer-pet.jp

レボリューション

製造販売業者:ファイザー株式会社

このお薬は、犬と猫のノミ駆除とフィラリア症の予防さらに耳ヒゼンダニおよび猫回虫を駆除します。犬にも猫にも使用できフィラリア予防、耳ヒゼンダ駆除効果も有するお薬です。非常に駆除予防対象が広く設定されており、守備範囲の広いお薬です。セラメクチンというお薬が製剤です。
犬:ノミ(1ヵ月間)
猫:ノミ(1ヵ月間)

プラクーティック

製造販売業者:ノバルティス アニマルヘルス株式会社

このお薬は、犬のノミとマダニを駆除します。最近発売が開始されたばかりで期待大きな新しいお薬です。お薬はピリプロールが駆除成分です。
犬:ノミ(1.5ヵ月間)マダニ(1.5ヵ月間)

使用方法

こんどは使用方法を簡単に紹介しましょう!

猫編

病院のはじめくんが今回のモデルです。

まずはパックから中身を取り出します。破損しない様に、通常はどのメーカーの製品もアルミやプラスティックで厳重に包装されています。

本製品はキャップの反対側を使用して、本体に穴を開ける構造になっています。(メーカーそれぞれですが、穴を開ける構造や、折り曲げて使用するタイプも有ります。)実際の滴下の方法は、頭〜首の毛を分けて皮膚を出します。

その部位に液を少しずつ垂らしていきます。一度に大量にたらすとあふれてしまうので、なるべく範囲を広げて滴下する様にします。
浸透性はメーカーによって変わります。

お薬の滴下が終わった後の状態です。(見えにくいのですが)患部がお薬でぬれているのが分かると思います。これで完了です。

猫の場合は自分で舐めてしまうことが出来るので、肩や背中には出来る限り使用しない様にします。また同居の猫ちゃんが居る場合もお互いに舐めあうことが有りますので、お薬が吸収されるまでのしばらくの間は猫ちゃん同士を別々にしておきます。

犬編

病院のDancyが今回のモデルです。

使用した薬剤はフロントラインプラスでこれは折り曲げることによって穴を開けるタイプです。折り曲げると折れた感触と「パチン」という音で分かります。

まずは頭の後ろから首にかけて滴下します。毛が極端に短いので、毛を分けることが出来ません。この場合はしかたないので、毛にたらす様な感じになります。

後は肩、腰に滴下します。これでおしまいです。

製品の選択:じゃあいったいどの製品がいいの?これだけ沢山種類があったら分からないよ〜。
製品に関してはどの製品もそれぞれ利点と欠点が有ると思います。

それらの状況を総合的な判断してお薬を選べば良いと思います。お薬にもいわゆる「切れ味の違い」が有る様に考えますし、実際にそう感じる時が多いのです。
選択に関するアドバイスは責任もって行ないますので、安心してご相談ください。